1 プロローグ

2005年3月

春の奥飛騨・雪景色

人間の目はカメラのレンズほどよくない!
こんなによく見えていないということ
前が見える!

♪いまはもう春ー えっ?

左右の森も真冬状態

高度を上げるにつれ雪は激しく

安房峠へ






































塩尻郊外奈良井川もグレー一色

穢れを隠す冷たい川

諏訪湖も雪に吹かれて

灰色の諏訪湖

午前5時半夜明け前にスタート

茜色の小金井の夜明け



































<プロローグ・・・高山へ>


この旅は日本人の魂のふるさとを訪ねる旅である。奥飛騨の穏国(こもりく)にひっそりと、歴史を重ねてきた人々の温かい人情に触れる旅でもある。どんな新しい出会いが待っているのか、いつものことだが前夜は地図の上でその行程をたどるだけでわくわく気分が高揚し、なかなか熟睡にはいれなかった。

この日の雪は天気予報で確認していたとはいうものの、彼岸過ぎの雪だからどうせたいしたことはないと高をくくっていた。しかし塩尻から島々、沢渡を抜けて安房峠を越える道程の降雪は、予想をはるかに越える激しさでわたしたちを襲った。

東京では「暑さ寒さも彼岸まで」というように、やっと春本来の陽気をとり戻し、昨日ははじめてコートを脱いだというのに、急な寒波の来襲によってまた真冬に逆戻りしてしまった。おいおい話していきたいと思うが、なにしろ車の温度計はマイナス9℃を記録したし、道路上の気温計にマイナス二桁を示したものがあった。この季節にマイナス9℃はとても信じられないのだが、加えてこの旅を通じて常に零℃前後という、すっぽりと冬将軍のお迎えの中にはいってしまったというのが正直な印象である。

とはいうものの交通の不便さと積雪による危険はあったが、それはわたしたちにとって歓迎すべきことでもあった。なぜならこの旅は「雪の残るうちに白川郷を見ておこう!」が企画の意図でもあったのだから・・・。もっともそんな不埒なことを考えているから、山の神が怒ってしまったのではと、今思えば反省の気持ちも強い。


<猛吹雪のお出迎え>


・・・北アルプスへの冬山登山の基点沢渡(さわんど)を過ぎるころから道路の凍結が目立ってきた。上高地への分岐をやり過ごし、しばらく走ると安房峠にさしかかる。かつて冬季の安房峠は閉鎖されていた。昔から積雪の多い難所であり、峠にトンネルが開通したことによってやっと冬季の信州と飛騨が結ばれた。

 
飛騨の国に入った。
 峠を抜けると、強風に舞い上がる粉雪と吹雪に行く手をさえぎられる。明らかに飛騨側のほうが厳しい。断続的に冷たい雪煙が前方から容赦なく吹きつけ、フロントガラスから前が見えない状態に置かれた。昼間だったからよかったが、もし夜であったならと思えばぞっとしてしまう。

対向車との衝突がもっとも危険なので前方を視野に入れながら、窓を開けて右手の雪の壁を凝視する。助手席からも「左はまだ1mは空いています」とか「もういっぱい!ハンドル切って!」の悲鳴に近い指示をもらう。そう、目の見えない状態で九十九折れのカーブのハンドルを切るという芸当が続いた。

途中前を行く車が立ち往生している。先に行けという合図をもらったが、かれはちゃっかりと後をついてきた。
 10分か20分かそれ以上の白いブラインドとの格闘であった。高度を下げるにつれ雪の量も減り、やっと高山にたどり着いた。ふーっ。
 さてはて、これから先どんな旅になることやら・・・・・

<続く> 「高山の古い町並みを歩く」


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