尾瀬沼と大江湿原
   2005年6月17日 

<1/6> 序曲:尾瀬沼へのアプローチ




序曲:尾瀬沼へのアプローチ沼山峠大江湿原燧ケ岳東岸・三平下フィナーレ

 「岩州の西南隅上州と接するの辺に一山あり、燧ケ岳という、海を抜くこと七千八百余尺、峰頭二つに分る、これを日光の緒山より望むに形貌すこぶる秀麗なり、その脈東北に走りて七千余尺の駒ケ岳を起し、南は脈を収めて、西南上毛の至仏山に対す。水は四囲の山より流れ下りて、一湖をなす、これを尾瀬沼という」

「尾瀬紀行」武田久吉 著 より


<早朝の出発、気になる天気>

小金井をスタートした5時に雨粒はなく、東の空は明るかった。
 (なんとか今日一日いい天気であって欲しい)というのが、この日を待ちわびた5人全員の願いであった。練馬・大泉から外環道を疾駆して東北自動車道にはいる。ポツリポツリと雨がフロントガラスを濡らしたが、さあ今日の結果はどうなることやら・・・?

朝食のかけそばこの日の天気予報は「福島県側の桧枝岐(ひのえまた)では終日曇り」に対して、「群馬県側の戸倉では日中は晴れ」のマークがついていた。やはり身びいきで群馬県の天気予報を信じたい。尾瀬はその県境にあるのだが、今日の目的地は福島県側の尾瀬沼が主。したがって雨に降られても仕方がないと思うが両者の距離は数キロで、気象学からすれば誤差の範囲。
 尾瀬は太平洋と日本海との分水嶺になっていて、気候区分も複雑に錯綜していることが天気予報を難しくさせる理由になっている。

東北道からは田植えを終えたのどかな田園風景が広がり、気持ちをおおらかにさせてくれる。北上するにつれ晴れ間が戻ってきた。心配も杞憂に終わりそうだ、などと楽観論が車中を支配し始めたが、そうは問屋がおろさない。桧枝岐(ひのえまた)に近づくと降り始めた雨脚が急になり、ムムム?と不安な憶測が頭をよぎりだす。あと10`、「西に向かううちに雨雲よ、去ってくれ!」の祈りになった。せっかく4時間半もかけてやって来たのに大雨では、喜びが怒りに化けてしまいかねない。


<御池に雨はなかった>

御池駐車場はこんな感じ尾瀬沼への基点・御池到着は9時35分。幸いなことにあれほど激しかった雨はどこかに行ってしまった。どうやら戸倉の天気予報が当たりそうである。(早計?)

 車を降りると、早くもカッコーと鶯が盛大に喜びの歌声を奏で、出迎えてくれた。それだけで、(ああ、また尾瀬に来たのだ)というわくわく感が高まる。
 わたしの中でここは非日常の別世界。空気はきれいだし、人間が周りにいない。都市文明の中で毎日を暮らしていると、人のいない世界にやたらと寂しさを感じるのだが、それもたまにはいい。静かに尾瀬と語り合いたい。

御池から先の乗用車の乗り入れは全面的に禁止になっているので、行先に「臨時規制」と書かれた連絡バスに乗る。沼山峠休憩所まではカーブの多い曲がりくねった山道を登っていく。両側に広がる森の広葉樹は、草緑色の若葉を枝にためて新鮮さにあふれている。終点に近く、新緑の疎林の向こうに白いものが見えた。「尾瀬の水芭蕉ですよ!」と小さな叫びがあって、乗車客は一斉にそちらを注目した。この季節の尾瀬ハイクの目的は湿原を白く彩る水芭蕉であり、その群落を求めてはるばるやって来た。だからこの景観に早くも小さな喜びを感じ、その先に大きな期待が・・・。

柔らかな新緑の向こうに水芭蕉が

「御池」も、そこから20分ほどで到着した「沼山峠休憩所」も、群馬県の鳩待峠に比べると寂しさを感じさせるが、東京からのアクセスを考えるとそれも仕方ない。こちらのルートは片道に1時間半も余計にかかるから、車の場合どうしても関越道の戸倉を選んで、鳩待峠から入山することになる。その遠さを克服してあえて福島口まで来たがさて・・・

<続く> 進む「沼山峠」へ

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