<岩畳>

荒川の流れに沿ってルート140を走って川辺の観光地・長瀞に着いた。紅葉も終盤を迎え、秋の余韻を楽しもうとする観光客がおしかけて混んでいた。駅裏に手ごろな駐車場を見つけて駐車した。

秩父鉄道長瀞駅

田舎の駅舎そのものの長瀞駅
いい雰囲気です

両側の土産物や

観光名所の「岩畳」へ下る両側は土産物屋が並び、イモ類、豆類、こんにゃく、団子など秩父の特産を声高に商っている。

すぐにライン下りの基点の「長瀞岩畳」に出た。

ごつごつした奇岩と緑の渕、その向こうに紅黄葉の木々といった全貌が見わたせる。長瀞の代表的岩石は緑泥片岩(リョクデイヘンガン)と呼ぶ。このほかにも各種の片岩が偏在し、総称して長瀞式変成岩と呼ばれている。これを上から見るとまるで畳を敷き詰めたように見えることから「岩畳」と名づけられたようだ。



カーソルをあてると絵が変わります
遠ざかる舟:岩畳より

ライン下りは上流から「親鼻橋〜長瀞岩畳」および「長瀞岩畳〜高砂端」という2コースがあり、全長は6`ほどである。下ったあとはバスで元の場所まで送ってくれるので交通の心配はない。

したがって中間点の「岩畳」は長瀞峡観光の交通の要衝であり、また対岸には中国の故事「赤壁の歌」からとった秩父赤壁という絶壁もあるため、常に賑わいを見せている。

わたしたちは車で移動したためライン下りには乗船しなかった。

パンフレットの解説では、「壮大な自然を眺めながら荒川の瀬縁(せふち)を豪快に流れるライン下りは、自然が創った造形美を心行くまでたっぷりと堪能できます。」と書かれている。

長瀞峡を下る

岩畳を上流に向かって散歩していると、何艘かの下り舟を見かけた。乗船客はお年寄りが多いように見えたが、いずれも長瀞の秋を堪能している様子で、笑顔がこぼれんばかりである。

「瀞」の文字は静かな水、水の溜まるところを意味するかと思う。したがって長瀞は静かな溜まりが長く続く流れとでもいえようか。緑泥片岩のせいか、流れも心なしか緑色を帯びている。その上を舟は静かに進む。前に立つ船頭が棹で方向をコントロールし、後の船頭が櫓でスピードを調整している。

これだけ穏やかだと、どこかの急流下りのように水に濡れることはないのかもしれない。
 岩畳から、また一艘別の舟が出て行った。


<上長瀞の清流と紅葉の林>

わたしたちは川下りではなく秩父の紅葉を求めている。残念ながら、ここまでの旅程では燃えるような紅葉を見ていない。

車を上流の親鼻橋まで走らせた。

荒川に鉄橋がかかり秩父鉄道の電車が通り過ぎた。あわててカメラを出したが、間に合わず鉄橋は静かな姿に戻っていた。

紅葉と電車橋

最上流の親鼻橋の岸辺より撮った
下った舟は専用のトラックがここまで運ぶ

しかし小春日和に恵まれて雲ひとつない空と濁りなく流れる荒川だが、もうひとつ、何かが足りない。それは目くるめくような赤や黄色の色だ。紅葉はもう終ってしまったのだろうか?

上流の親鼻橋から、帰りは川に沿った小道を走らせた。この川辺の道は明らかに景観が違う。葉の色が違うのだ。期待してもよさそうだ!

やっと燃えるような赤を見つけた。

燃える赤

ここに自然史博物館とレストランなどが集まっているが、やはり紅葉の名所なのだ。

林の中を散策してみると黄色と赤と緑が、光と影の演出で微妙な色彩を描いている。さくさくと落ち葉を踏みしめて、向こう岸の虎岩を確認してからきびすを返した。



カーソルをあてると絵が変わります
微妙な光線のいたずらで幻想的な秋を楽しみました

帰り道、宮沢賢治の石碑が一枚岩に刻み込まれていた。

  つくづくと粋なもやうの博多帯 荒川ぎしの片岩のいろ

宮沢賢治碑文

<続く> 「宝登山と蕎麦」


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長瀞ライン下り
2004年11月(2005.10記)