長瀞宝登山(ほどさん)
蕎麦
2004年11月(2005.10記)


長瀞駅からまっすぐに出て140号線を突っ切って登りきると、そこが長瀞八景のひとつで桜の名所・宝登山(ほどさん)。宝の山に登るという縁起のいい名がつく宝登山は、山頂に奥宮や梅百花園、蝋梅園などが整備され四季折々の自然を楽しむことができる。ロープウエイも敷設されているが、のんびり歩いても1時間ほどで頂上にたどり着けるようだ。

<日本武尊伝説>

この山には太古の昔、日本武尊(やまとたける)とその軍勢が東国平定のおり神霊を拝したという伝説が残る。こんなことをいったら武尊(ぶそん)ではなく不遜(ふそん)になってしまうが、日本武尊はやたらと剣を振り回す癖があるようだ。駿河の国・草薙でもそうであったが、ここでも山火事に襲われるに際し剣で草をはらったという物語が残る。その逸話から「火止山」(ほどやま)と名づけられ、その後「宝珠の玉が光り輝き山上に飛翔した神変がおこった」ため、「宝登山」に改められた。

したがって火災盗難除けの守護神として祀られている。


<昼食の蕎麦>

時間は昼時を迎えた。

荒川上流域を歩くと、蕎麦屋の看板があちこちに見られる。秩父地方は古くから蕎麦の産地で、長瀞にも、「みやび庵」や「むらた」など何軒かの著名な蕎麦屋があるようだ。小腹がすいたので、参道の一角にたたずむ蕎麦屋さんで昼食をとることにした。

秩父地粉蕎麦実はこの日は、景色のいいところで遠足よろしく昼食をとろうという計画で、コンビニのおにぎりを用意していた。しかしあちこちで「手打蕎麦」の看板が「おいで、おいで!」と誘惑を繰り返したので、遂にその魅力に負けてしまったというわけだ。

小さな玄関口から中にはいると奥に座敷が見えるが、上がりかまちの左手に蕎麦打ち台が目についた。(ああ手打をしているんだ!)と、期待が芽生えた。どんな打ち方をしているのかとご主人に話しかけてみた。「蕎麦の実と甘皮を丸ごと引いた質のよい地粉が手に入りますので、ニッパチ以上で打っています。」と地粉のよさと「以上」の言葉を強調された。

加えて「蕎麦のキレを楽しむにはやはり冷たい蕎麦のほうがいいですよ。」と勧められたが、身体が温かいものを要求していたので汁蕎麦の「きのこ蕎麦」に決めた。

おいしかった挽きぐるみ

フーフーいいながらすすりこみました

丼にあふれんばかりの、(予期していたものとは違って)太めにに打たれた蕎麦がテーブルに置かれた。

早起きして空腹を抱えた二人はその蕎麦に食らいついた。フーフーいいながら、ズルズルっとすする。熱々の蕎麦汁が喉を通り、食道を伝わって体内に落ちていく。柚子の香りのアクセントがいい。

「すみませーん。朝用意してきたおにぎりですが、こちらで食べてもいいですか!」と女将さんに許可をいただいた。それまで下に隠しておいたおにぎりを取り出してぱくついた。きのこ蕎麦の汁とおにぎりの相性が抜群だ。

「これでおなかが落着きましたねえ。」「うん、おいしかった!」 きのこ蕎麦、680円也とリーズナブルで、なかなかの蕎麦でした!


<落ち葉のコラージュ>

ふと壁にかけられた絵が気になった。すばらしいので見入ってしまったが、よくよく注視してみると、それらの絵は落ち葉や細かな木切れをはり合わせて描かれている。

落ち葉のコラージュとでもいえようか。人物画もいいが、写実的な油絵かと見間違えるほどの風景画はもっとよかった。人工の絵の具ではなく、自然界で朽ち枯れた素材から出来上がっているだけによりナチュラルに感ぜられた。

写実そのもの

木の枝や水に映る山の緑など、ナチュラルでした

「これは素人の域を超えている!すばらしい!」

賞賛の声を残しておいしい蕎麦屋さんを後にした。

<続く> 「桜山の冬桜」



長瀞の秋葛の寺ライン下り宝登山桜山の冬桜


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