2006.5.5

神々の降りたまう地

1.神の国(プロローグ) 2.大正池 3.田代池 4.河童橋へ 5.最終章


<田代池>

田代池は色彩と景観において異彩を放っています。



赤褐色の地肌もあらわに田代池
人気スポットです

正面に見える六百山や霞沢岳から砂礫層で濾過されて
湧出する伏流水が田代池を守っています

全体に茶色く見えるのは、昭和50年の大雨によって山から土砂が流れ出して陸化が進んだことによるようです。そういえば池が、以前の記憶より少し小さくなったように感じます。
 もし暑い夏であったなら、靴を脱いでそのまま池にはいってしまいたい、そんな雰囲気をもっています。 

周辺の湿原も宿命でしょうか、土砂の押し出しや植物遺体の堆積などにより陸化が進んでいるようです。



うっすらと雪が残る田代湿原から北アルプスを眺望
西穂高岳から奥穂、前穂、明神岳と続く高嶺の稜線がくっきりと見られます

しかしこの時期は山からの伏流水と雪解け水がたっぷりとあふれ、湿地帯を潤し、沢を作って梓川に流れ込んでいきます。清らかに激しく流れる小川が春を感じさせてくれました。



田代池から勢いよく流れ出す春の水
 

<親子連れ>

前となり後ろとなって歩いている若い親子連れがいます。

子供は三人で、一番小さい子供は父親が背負っています。「お幾つですか?」と尋ねてみると、「この子はまだ1歳になりませんが、上の子は5歳、下が3歳です。」

「ほう、3歳でも大丈夫?歩けるのですか?」とわたし。

「上の子供も3歳のときに連れてきたのですが、あのときのほうが何かと楽でした。今回も3歳のほうは文句も言わないで歩いてくれるのですが・・・」とあとの言葉を濁しました。

子供も大きくなると興味の幅が広くなっていろいろと質問をしたり、危険な動きをするようです。それも成長の過程ですから邪険にしないことが大切ですね。などと思っていると、5歳の女の子が滑って転んで泣き出しました。突然のハプニングに親はおおわらわ。それを見つめる3歳の目は緊張感で金縛りにあったようでした。

 

 田代池から田代橋までは30分ばかりかけて林の中を進みます。
 鉄分が多く茶褐色をした通称“ドブ池”(だれがこんな名前をつけたのでしょう?)を過ぎると、前方には穂高の嶺が見え隠れし、左手に梓川の清冽な流れが顔を出します。周辺一帯を残雪と雪解け水が覆い、その水を集めて細い支流を作っています。
 このあたりから梓川越しに眺める焼岳もなかなかのものです。山は冬の山ですが、梓川は爽快なブルー、いやコバルトブルーと表現したほうが近いでしょうか?


 “ウエストン碑まで1KM”“河童橋まで2KM”の標識が見えました。



ラガーマンのようにがっちりした父親は乳児を背中に
3歳と5歳の子供を元気づけながら田代橋に到着しました

<続く> 「その4河童橋へ」


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上高地  その3