24 イチリンソウ(一輪草)イチゲソウ キンポウゲ科
 多年草。本州から九州の渓畔や林縁、竹林に生える。葉は菊のようにぎざぎざしており、中央から花柄が伸びてその先に一輪の花を咲かせる。花弁がなく白いガク片が花弁状に5−7枚ある。二輪草に比べ花輪はやや大きい。
 一つ咲くので一花草(いちげそう)ともいい、またガク片の裏が紅紫色を帯びるのは「裏紅一花」ともいう。山歩きなどで見つけるが、どことなく寂しい感じがある。春の季語。

高さ:20〜30cm
花期:4−5月
花言葉:強くなれ、追憶
4月 五日市小峰公園

イチリンソウ


道なき谿 一輪草の 寂しさよ    加藤知世子
手にのせて 風も小さく 一輪草   きくちつねこ

一輪草 父母より姉の 墓古き    平田岐久
武蔵野に 拾ひし土器や 一輪草   矢島艶子



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■ 一輪草(イチリンソウ)可憐

 純白の五弁花は一輪草(いちりんそう)。
 山すその渓流のそばや湿った林の中に自生します。同種・きんぽうげ科の二輪草(にりんそう)に似ていますが、こちらのほうが背も高ければ花も大きい。二輪草は群生をよく見ますが、一輪草にはそれがありません。
 “一花草(いちげそう)”の別名があるように孤独で、ぽつんと一つ咲く姿は、どことなく寂しいものです。しかし同時に、春の緑の中にすっくと立つ純白の花は、“牛若丸”に似た凛々しさをも感じさせます。もっとも義経には、“稚児ユリ”という、これこそ可憐そのものという小花があり、花好きのおば様方にはたまらないもののようです。
 どちらも長い風雪に耐え、やっと花を咲かせたという清々しさと開放感があって、わたしは大好きです。

(2006年4月29日)