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道なき谿 一輪草の 寂しさよ 加藤知世子
手にのせて 風も小さく 一輪草 きくちつねこ
一輪草 父母より姉の 墓古き 平田岐久
武蔵野に 拾ひし土器や 一輪草 矢島艶子
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■ 一輪草(イチリンソウ)可憐 純白の五弁花は一輪草(いちりんそう)。 山すその渓流のそばや湿った林の中に自生します。同種・きんぽうげ科の二輪草(にりんそう)に似ていますが、こちらのほうが背も高ければ花も大きい。二輪草は群生をよく見ますが、一輪草にはそれがありません。 “一花草(いちげそう)”の別名があるように孤独で、ぽつんと一つ咲く姿は、どことなく寂しいものです。しかし同時に、春の緑の中にすっくと立つ純白の花は、“牛若丸”に似た凛々しさをも感じさせます。もっとも義経には、“稚児ユリ”という、これこそ可憐そのものという小花があり、花好きのおば様方にはたまらないもののようです。 どちらも長い風雪に耐え、やっと花を咲かせたという清々しさと開放感があって、わたしは大好きです。 (2006年4月29日) |