をだまき・白
55 オダマキ(苧環)キンポウゲ科オダマキ属
高さ20cm〜40cmの多年草。日本原産種。晩春長い花梗を出し青紫、赤紫、まれに白色(写真)の5弁の花を2〜3咲かせる。花径5cm内外で、花弁のように見えるものはガクで、花弁の先端は白い。葉は長い切れ込みのある3枚の小葉をつけている。ミヤマオダマキから本種が作られたと考えられている。春の季語。古名はいとくり。どこか寂しさのある花で、それがいい。
五日市の奥、数馬の湯近くで白色を見つけた。


花期:4−5月
花言葉:移り気・勝利の誓い・別れた恋人・素直 ・のろま
5月 数馬 花壇

オダマキ


妻見入る をだまきに雨 盛んなり    大野林火
をだまきや 乾きて白き 吉野紙     水原秋桜子
ハイカー稀に 旧道をだまきの 花伏目  斉藤春楓

 「おだまき」には義経と静御前にまつわる「義経記」の有名な一説があった。

 吉野で義経と別れたあと静御前は囚われの身となって鎌倉へ送られる。
 その直後の文治2年(1187)4月8日灌仏会の花祭りの日、鶴岡八幡宮の拝殿にて頼朝夫妻ほか得意絶頂の源氏の武者を前に、恥を忍んで舞う。鼓の名手・工藤祐経が鼓を打ち、畠山重忠が銅拍子をとった。義経へのこみあげる思慕をうちに舞う姿は凄愴であり、かつ気高くもあった。

 「よしの山 峰の白雪踏みわけて 入りし人の あとぞ恋しき」
 「しづやしづ 賤のをだまきくり返し むかしを今に なすよしもがな」

 その舞に、満座の諸大名もひっそりと静まりかえったと「義経記」は伝える。

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