42 ネコヤナギ・フリソデヤナギ(猫柳)・ゑのころやなぎ   ヤナギ科ヤナギ属
 一般に「かわやなぎ」というが、川辺に自生するからである。高さ0.5〜3m、単葉の落葉低木。北海道から九州に分布。3月〜4月の春先、水辺をにぎわせる。この仲間は雌雄異株。ばっこうヤナギとの雑種フリソデヤナギ(写真)は切花でも利用。
花穂に白い毛が密生し、これが銀色に輝いて美しく、猫に似た感じがある。写真のネコヤナギもかわいらしく、暖かさの中で心をくつろがせてくれた。のどかな情感をもっている。早春の季語。

花期:3−4月
4月向島 山野木
ネコヤナギ

ネコヤナギ・猫柳


ときをりの 水のささやき 猫柳       中村汀女

風止みて 日のやさしさよ 猫やなぎ    成瀬桜桃子
誰通りても 猫柳 光りけり         佐々木有風



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水辺の猫柳 ■水辺のネコヤナギ

 ふっくらとした銀鼠色の花穂が、春の温かな日と水の光に溶け合ってきらめく。絹の毛が密集したような花穂は、名前のとおり猫の毛並みを想像させて柔らかだ。姿かたちまで猫背をとおすのは人間に対するおべっかか?
 春先は強風にあおられて落ち着かない日々をすごしたのだろうが、幸いにもこの日は穏やかな晴天に恵まれ、銀色の毛艶がひときわ輝いて見えた。
 別名をカワヤナギと呼ぶくらいだから、ネコヤナギは水辺にかぎる。清涼感の中にほのぼのとした平和を感じた。

 激(たぎ)つ瀬は 又猫柳 光(て)るところ 山口誓子

(2006年4月12日)