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ときをりの 水のささやき 猫柳 中村汀女
風止みて 日のやさしさよ 猫やなぎ 成瀬桜桃子
誰通りても 猫柳 光りけり 佐々木有風
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■水辺のネコヤナギ ふっくらとした銀鼠色の花穂が、春の温かな日と水の光に溶け合ってきらめく。絹の毛が密集したような花穂は、名前のとおり猫の毛並みを想像させて柔らかだ。姿かたちまで猫背をとおすのは人間に対するおべっかか? 春先は強風にあおられて落ち着かない日々をすごしたのだろうが、幸いにもこの日は穏やかな晴天に恵まれ、銀色の毛艶がひときわ輝いて見えた。 別名をカワヤナギと呼ぶくらいだから、ネコヤナギは水辺にかぎる。清涼感の中にほのぼのとした平和を感じた。 激(たぎ)つ瀬は 又猫柳 光(て)るところ 山口誓子 (2006年4月12日) |