フクジュソウ・福寿草


福寿草 家族のごとく かたまれり     福田蓼汀
竜神に 福寿草咲く 山襞あり       金子兜太
福寿草の 日向に母を 連れ出して    伊藤通明
妻の座の 日向ありけり 福寿草     石田波郷

「花金色、花びら多く菊の如し。元日草とも福付草ともいう。祝儀の花なり。」

54 フクジュソウ(福寿草)
キンポウゲ科フクジュソウ属
高さ15〜20cm、キンポウゲ科の多年草。北海道、中部地方以北の本州に自生し花色は黄色。北海道では平地、本州以西では山地に生える。茎は短く、地下に太い針金のような鬚根がある。9月に新芽が動き始め数枚のホウに包まれた新芽が地上部に現れる。
園芸種も多い冬の間は日当たりよく、夏は日陰になる落葉樹の下などに植える。
江戸時代はじめから正月に開花が間に合うように人工的に促成栽培され、鉢植えにして正月の床の間を飾った。別名元日草(ガンジツソウ)。新年の季語。

花期:2−5月
花言葉:幸福
3月 国分寺・殿ケ谷戸庭園 花壇
フクジュソウ

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■福寿草

 枯葉の間に、ここにだけの福寿草を見つけた。それは大変な驚きであった。嬉しかった。
 「草木言問いし時」ということばがあるが、この福寿草は「春ですよ、いかがですか。きれいでしょう!」とわたしに、うったえているようでもあった。
 まさに「花に鳴く鶯、水に住む蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いずれか歌をよまざりける」(古今集)の世界を現(うつつ)にしていた。
 今年の冬は異常気象と騒がれるほど寒かった。梅の開花も遅く、春が待ち遠しい。そんな冬枯れの林の中で、わたしだけの春の声を聞いた・・・。
(2006年3月4日記)