福寿草 家族のごとく かたまれり 福田蓼汀
竜神に 福寿草咲く 山襞あり 金子兜太
福寿草の 日向に母を 連れ出して 伊藤通明
妻の座の 日向ありけり 福寿草 石田波郷
「花金色、花びら多く菊の如し。元日草とも福付草ともいう。祝儀の花なり。」
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■福寿草 枯葉の間に、ここにだけの福寿草を見つけた。それは大変な驚きであった。嬉しかった。 「草木言問いし時」ということばがあるが、この福寿草は「春ですよ、いかがですか。きれいでしょう!」とわたしに、うったえているようでもあった。 まさに「花に鳴く鶯、水に住む蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いずれか歌をよまざりける」(古今集)の世界を現(うつつ)にしていた。 今年の冬は異常気象と騒がれるほど寒かった。梅の開花も遅く、春が待ち遠しい。そんな冬枯れの林の中で、わたしだけの春の声を聞いた・・・。 (2006年3月4日記) |