ひなげしの 曲がりて立ちて 白き陽に 山口青邨
風を呼び 風を遊ばせ 虞美人草    磯田富久子
裏富士と 虞美人草を 一景に      松本 巨草

ヒナゲシ・雛芥子

虞美人草 ■ヒナゲシ 虞美人草 ポピー ケシ科
ヨーロッパ原産の2年草で江戸時代に渡来した。

 紀元前221年に中国を統一した秦は、内部崩壊とも言えるあっけなさで瓦解してしまいます。その秦を倒した英雄の一番手は圧倒的な強さを誇る楚の項羽でしたが、宿敵劉邦(漢)との5年間にわたる確執の後「垓下(がいか)の戦い」に敗れます。その直前、項羽の愛妾・虞は足手まといになることを恐れ自らの命を絶ちます。時が経ち、虞姫の墓に真っ赤な美しい花が咲きました。壮絶な死を遂げた項羽の血しぶきなのかもしれません。以来この花には、虞美人草の名がついています。
雛罌粟(ひなげし)、最近ではポピーのほうが一般的のようです。
花期:5〜6月
花言葉:
(小金井公園 2005年6月4日)
■ 通勤道のポピー

 きれいに整備された通勤道沿いに、いつの間にか、赤やピンクの華やかなつつじが咲きそろってきました。

 ところがここ一箇所だけはポピーが群生しています。どなたかがその種を蒔いたのか、それとも風に乗って飛んできたのかわかりませんが、朝の陽光に向かって元気よく背伸びをしています。
 若い花芽が天に向かってすっくと伸びている様子は、芯の強い、健康な若者を連想させ、仕事に向かう上での“元気”をもらえます。

 ヨーロッパ中部原産のポピーは別名を虞美人草(ヒナゲシが一般的)ともいいます。「虞や、虞や、われは汝を如何せん!」と叫んだ楚の項羽の言葉が思い出されます。

 風を呼び 風を遊ばせ 虞美人草    磯田富久子

(2006年5月8日)

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