菜の花と いふ平凡を 愛しけり   冨安 風生

菜の花の 昼はたのしき 事多し  長谷川かな女

菜の花の おもひのほかに つめたしや  甲田鐘一路

菜の花や 月は東に 日は西に   蕪村

菜の花・アブラナ(油菜)・花菜 アブラナ科
一般に菜種(ナタネ)と呼ばれるが、洋種と在来種がある。秋に種子をまき、春に黄色の十字花をつけ結実する。4月の新学期を迎えるころ満開となる黄色の野原は春の気分を満喫させる。葉は食用にし、種からは油をとる。食用油の菜種油は大豆油に次いで需要が多い。旬のおひたしは日本酒のつまみに大好物。少々感じる苦みがいいい。春の季語。
花期:3−5月
花言葉:快活、初々しい、豊かな財力
4月 野川 rape

菜の花・アブラナ


■菜の花畑に入日薄れ♪

田舎から都会に出てきた者にとっては遠い故郷を思い起こす春の菜の花畑です。「見わたす山の端霞深し 春風そよ吹く空を見れば 夕月かかりて匂い淡し」と続くのですが、なにか子供のころを思い出して感傷的になってしまいます。
満開の菜の花は明るい春の象徴で、その光景は「黄金をのべたるがごとし」とも表現されましたが、思いのほかの冷たさも内に秘めています。感傷とは別にこの日は「胡麻和え」にして食してしまいました。
 (2005年4月16日)

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