黄昏れて ゆくあぢさゐの花 にげてゆく 富沢赤黄男
誰もゐぬ 紫陽花浄土 雨けぶる 古賀まり子
武蔵より 上総へ雨の 七変化 小野田喜恵
明日会ふ 紫陽花に雨 降りはじめ 徳広喜子
寺の子の見目よく育ち 濃紫陽花 山岸珠樹
紫陽花の 一毬低く 童子仏 芳村うつぎ
紫陽花や はなだにかはる きのふけふ 正岡子規
アジサイ(紫陽花) ガクアジサイ 七変化 ユキノシタ科アジサイ属 | ||
落葉低木。房総、三浦、伊豆七島、伊豆半島に自生するガクアジサイの園芸品種。淡青紫色の装飾花が球状に集まって咲く。花色は帯緑白色から淡紅空色などと変化するので七変化の別名もある。また花色は土が酸性かアルカリ性かによっても
変わるという論がある。酸性土壌では 青色が強く、アルカリ性土壌では赤色が強く
なるようだ。 日本にはガクアジサイだけでなく、ヤマアジサイ、コアジサイ、タマアジサイ、ノリウツギなどのアジサイの仲間が自生する。ヨーロッパで作ったセイヨウアジサイをハイドランジャといい、こちらは花に変化が多い。 高さ:1〜3m 花期:6−7月 花言葉:移り気、無情、辛抱強い愛情、元気な女性・・・ガクアジサイの花言葉:謙虚 |
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2005年7月 江ノ島にて 花木 |
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<2004年6月> 紫陽花 6月ということばを聞いて反射的に思い浮かべるのは「梅雨」「ジューンブライド」と「紫陽花(あじさい)の花」。 年々歳々鬱陶しい季節に新鮮な感動をもたらしてくれる、これほど雨の似合う花をわたしは知らない。住宅街を散歩すると、家々の軒先にブルーやピンクの大ぶりの花が雨脚にゆれながら静かにたたずんでいる。陰鬱な雨の6月に鮮やかな色彩を添え、暗くなりがちな心の中を明るくしてくれる。最近は「墨田の花火」(左下写真)などという新種も開発され、名前だけでも夏の到来を予感させる。 ところで「ジューンブライド」がなんで幸せなのでしょう? 雨が女性の感傷を誘ってなんとなく幸せに見えるから?それとも雨が過去の傷を流し去って新たな旅立ちができるから? 諸説はあるようだが、ヨーロッパの6月は1年中で最も雨が少なく良いお天気が続くため、門出の季節としては最高であるというのが定説のよう。日本で正解を求めるならば「10月の花嫁(オクトーバーブライド)」が妥当かと思うのだが、「ジューンブライド」という逆説的ことばを誰が安易に日本に持ち込んだのだろうか? わたしはむしろストレートに「紫陽花の花嫁」のほうが情緒があっていいと思うが、残念なことに紫陽花の花言葉は「あなたは冷たい」とか「無常」。うーん、花嫁がこれでは困る。何かいい知恵はないものだろうか? |