東欧の旅(3) ハルシュタット
この一枚でハルシュタットが理解できる!
真冬のハルシュタット湖にカヤックの浮かんでいるのを見た。
寒いのに・・・。
厳寒の湖面に一艘のカヤック
これは仕事なのかスポーツなのか?
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この村はザルツブルグ郊外1時間半のところにある。
オーストリア・アルプスの麓の湖水地帯・ザルツカンマーグート地域の最奥に位置する。
バスは雪道を通って山岳地帯に分け入って、窓外にいくつもの小さな湖沼を観た。東京で言えば“箱根”というイメージに近い。
山と湖に囲まれた美しい村で、世界遺産に登録されている。日本人にはなじみはないが、町の名を“ハルシュタット”という。
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この山岳地帯には紀元前から人間が住み着いていた。
地球生成時代に岩のなかに閉じ込められた塩と、豊かな水があり、人間が生活するに好適な土地だったのだ。
そう、このあたりいったいは岩塩の宝庫なのだ。
ハルシュタット湖自体が岩塩湖であり、周辺の石灰岩質の山からも岩塩を切り出す。重畳する山の高みまで坑道を掘って塩の塊を見つけ出し、トロッコのような軌道車で下界に下ろす。
この塩坑は世界最古のようだが、今でも操業している。
地上ではその塩を精製して製品化する。
小さな町の唯一の産業が過去から現代まで営々と引き継がれている。
その一本しかないメインストリートに、“SALT”の看板が目立った。
塩と水があれば、人間は生活ができる・・・。
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村のはずれでバスを降りて500mほどの村の中に歩をすすめた。
家々は急な斜面に張りつくように立っているから首を後ろに伸ばして見上げるかたちになる。
その急角度は想像を絶する。日本のような地震国では間違いなく建築基準に違反するだろう。狭い土地に暮らすための人々の生活の知恵だろうが、去年の夏に訪ねた南信濃の天上の村のことを思い出した。
途中に教会があったのでのぞいてみた。そこにこんな事件があった。
<ハルシュタットの教会に、1734年に村内の岩塩の坑道から塩漬け状態の人間の遺体が発見された。遺体と同時に発見された衣類や道具から、この遺体は先史時代の岩塩の鉱夫で、落盤などの事故により岩塩内に閉じ込められたと考えられた。>
この男は“ソルトマン”と名づけられて世界的に有名になった・・・。
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奥の小高いところから振り返ってみるとこの町の全貌を臨むことができた。
雪の山と湖のあいだにひっそりと佇む町になんともいえない哀愁を感じた・・・。
山と湖に囲まれた美しい村
狭い町の通り
時々車も行き交う
看板に
salt & souvenirs とある
急斜面から家がはみ出た!
こんなペンションも!