板蕎麦・あらきそば


<村山蕎麦街道>

 山形市の北方天童市に隣接する村山市は最上川の流域に広がる田園地帯。

 最近、その村山市の最上川三難所(奥の細道に登場)に「そば街道」という名所ができた。
 本格的手打ちそば14店が、腕を競う。店舗ごとにそれぞれ特徴を持ち、打ち立ての香り高い味覚を提供してくれる。

 もともと良質な蕎麦と自然水が豊富に取れる土地柄、蕎麦どころ山形の中でもそのうまさは群を抜く。
 本日の昼食は十四番店「あらきそば」に決めていた。


<あらきそば>

こぶしの花咲く「あらきそば」 囲炉裏を構える薄暗い座敷の雰囲気と茅葺きの外観は幾年月まったく変わっていない。

 聞けば「大正9年から店を開いている」というからよほど古い歴史がある。

<板そば>
といい、長方形の蕎麦板の上に盛り付けてそばが出てくる。蕎麦板とは杉や檜を加工して作った「盆」のことである。新潟のへぎそばに似ているのは、何かのつながりがあるに違いない。

 量は多い。


 少な目の「うす毛利」(七百円也)とにしんの味噌煮を頼む。かつて昼食に立ち寄ったときの記憶では、近隣の顧客は大盛りの「昔毛利」を頼み、残したそばをあらかじめ用意したどんぶりに入れて持ち帰っていた。当時まだ若かったわたしは「昔毛利」をぺろりと平らげてしまったものだが。

薄毛利でもこんなに多い

 出てきたのは太くて腰の強い田舎そば。そばつゆが絡みにくいが、その分そば本来の甘味をよく噛んで味わうことができる。「原料のそば粉がしっかりしていますから・・・」というが、つるつると、のど越しを味わうそばとは一線を画する。

 つなぎは使用せず、そば粉100%の生粉打ちそば。近隣の畑で秋口に取れた蕎麦を低温倉庫で貯蔵し、「挽きぐるみ」で毎日その日の分を打つという。

達筆のメニュー

 「昔、私のおじいさんのころは石臼で引いていたが、最近は機械でやっている。」と若女将は感慨深げである。


<若女将>

 私が「昭和57年ごろですから、もう20年ほど昔、一度仕事の途中におじゃましたことがある。昔とまったく変わっていませんね。」と懐かしく話しかけると、女将さんは「じゃあ、私はまだ女学生でしたね。ありがとうございます。」と丁寧な返事が返ってきた。

 思い上がることなく一所懸命伝統を守ろうとしている。この店の商売繁盛は間違いない。


 母なる河よ最上川 辛夷の花 白くかおり

  雪解けの水 岸を洗う
         真壁 仁

<了>


山形県村山市・蕎麦街道紹介
店 名 住 所 TEL0237 備 考
一番店 そばの陣 やまのうち 村山市山の内322−1 57−2710 年中無休
二番店 やまばと民宿 太兵エ 村山市山の内500 57−2580 要予約
三番店 やまばと民宿 市十郎 村山市山の内1045−4 57−2605 要予約
四番店 やまばと民宿八鍬 村山市山の内641−3 57−2660 要予約
五番店 丸 新 そ ば 村山市富並4221 57−2021 毎週火曜定休
六番店 手打 三郎兵衛そば 村山市富並921 57−2305 年中無休
七番店 リバーハウスはやぶさ 村山市富並625 57−2235 冬季中休業
八番店 農村伝承の家 村山市河島杉島1315−1 53−3277 そば打ち体験のみ
九番店 クアハウス碁点 村山市碁点1034−7 56−3351 年中無休,宿泊可、温泉
十番店 おんどりそば 村山市山の内255−1 57−2552 毎週火曜定休、温泉有ります
十二番店 後楽園そば 村山市碁点1052−4 56−3378 年中無休
十三番店 くれない苑 村山市大久保甲4 54−2420 そばがき専門毎週火曜定休要予約
十四番店 あらきそば 村山市大久保甲65 54−2248 11時〜18時 11、26日定休

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